シャリを炊くときに求められることは、作り手の寿司職人によっても異なりますが、概ね好まれる傾向としては、口の中でほどけるようなシャリと言われています。
口の中で”ホロホロ”とほどけるようなシャリは、やはり食べていて美味しいと感じるポイントですね。
では、”ホロホロ”とほどけるようなシャリはどのようにして作られているのでしょうか?
ここでは、理想のシャリが炊けるようにいくつかのポイントを解説していきます。
目次
お米の種類
シャリを美味しく炊くために最も重要なことは、寿司にあうシャリを使うということです。
皆さんも耳にしたことがあると思いますが、「新米は水分が多いので寿司には不向き」であると。
ということは、どのお米でも水分の多すぎるお米は、シャリには向いていないということです。
では、どの種類の米がむいているかというと、僕の個人的感想ではありますが宮城県のササニシキが良いと思います。
この米は、美味しいお米として皆さんもご存じのコシヒカリとは違い、どちらかというとあっさりとしたお米です。
水を多少多めに入れて炊いたとしても、もっちりとした感触にはならずにあっさりと炊けます。
シャリは基本的には冷やして(人肌程度)で使うことが常なので、冷えても美味しいお米であることが重要となります。
人肌程度にシャリが冷めると、一粒ずつに膜が出来て米がきっちりと立ってきます。
この状態が口の中で”ホロホロ”とほぐれるということです。
シャリ酢と合わせて人肌まで冷めたらおひつに移しておくこと。
おひつに移すと余分な水分が飛んで、より口の中でホロホロとするシャリになります。
シャリを炊く時の方程式
シャリを炊く時には失敗しない方程式があります。
皆さんも学生の頃に数学でいろんな「公式」を覚えたことだと思います。
この「公式」をいくつか覚えると、自分の作りたい味、硬さのシャリが作れるようになります。
それでは、どのような「公式」があるのかを解説していきますね。
~公式を覚えよう~
まずは、必ず覚えるべきことを箇条書きにして書いていきます。
1・生米1合の重量は150gである。(生米とは洗米する前の米の事です)
2・洗米後の米は3割ほど重量が増える。(洗米して30分置いたあと)
3・洗米後の米は2割ほど質量が増える。(洗米して30分置いたあと)
4・米を炊く時の水の重量は洗米後の米の重量と同量である。
5・米を炊く時の水の質量は生米の質量の1.2倍である。
6・炊き上がった米は生米の時の重量の2.2倍である。
7・シャリ酢の割合の基本は、酢3:砂糖2:塩1である。(酢は穀物酢は酸味が強すぎるので米酢を使うこと)
8・飯に合わせるシャリ酢の量は、炊き上がった米の重量の1割にする。
上記8個7個の公式がきちんと頭に入っていれば、計りで計ろうが、計量カップで計ろうが、コップで計ろうがシャリを炊くことができます。
少しややこしいのですが、一つづつ解説していきますね。
「例1」お玉で米を計った場合
計量カップも計りもないときがもしもあったとしたら・・
お米をお玉で摺り切り10杯ザルに入れて洗って30分程度置いて水気を切る。
この時すでにお米が2割の水分を吸って質量が2割増えている。
ということは・・
洗米後の2割増えているお米と同量の水で炊く。
つまり、お玉10杯+2杯で炊けば炊き上がるということです。
「洗米後の米と水の量は同量」の公式=「生米の1.2倍の水の量」の公式
は同じであるってことがわかりますね。
料理していて計りや計量カップがない場合も少ないと思いますが、上記の公式を覚えておけばお米は炊くことができます。
では、上記で炊き上がったご飯が300gだったとしたら、シャリ酢の分量はどれくらいなのでしょうか?
シャリ酢は炊き上がった米の1割なので30CCということになりますね。
少しは公式に慣れてきましたか?
では次に、
「例2」巻き寿司2本分(500g)のシャリが足りない・・
あと少しシャリが足りないっていうような状況はよくあるもんです。
そうなったときに、1合とか1升とかの単位でしか炊くことができなかったら、シャリが余ってしまうという状況になります。
そこで公式の「炊き上がった米は生米の時の重量の2.2倍である」というのを利用すればちょうどよい量を炊くことができます。
巻き寿司2本分(500g)足りないとなったときは、公式を使って計算して必要な米の量を導き出しましょう。
炊き上がった米は、生米の時の2.2倍になるということは、500gのご飯が必要な場合は2.2でわればよいですね。
500÷2.2=227.272727273
ちょっと端数は繰り上げて228gとしましょう。
ということで、500gの炊き上がりの米が必要な場合は、228gの生米を用意すればいいというのがわかりました。
ちょっと数学の授業のようで面白いですね(笑)
シャリを炊く時のお米と水の話でした。
聞きたいことやわかりにくいことがあったらコメントで頂けたら対応して記事の修正をします。
お疲れ様でした。